★ブランドインタビュー

日常に鮮やかな彩りと安らぎを添えるテキスタイルブランド「gonhee」

2026-03-01
日常に鮮やかな彩りと安らぎを添えるテキスタイルブランド「gonhee」
gonhee

gonhee(ゴンヒ)は、寝具などを扱うライフスタイルブランドです。韓国語で「深く眠ったような、穏やかでゆるやかな状態」を意味します。好きなものに囲まれた空間で、いちばん自然体でいられるひととき。その感覚をファブリックで表現しています。
ただ目で楽しむための製品ではなく、日常のあちこちにそっと溶け込む、小さな休息と心地よさを提案します。長くそばに置いておきたくなるファブリック、そして自然に暮らしに溶け込むライフスタイルを目指しています。
家の中でのくつろぎ、ふと生まれる余白、何も考えずに心から安らげる時間。gonheeのファブリックは、そんな情景をデザインへと昇華し、あなたの空間にあたたかさと心地よいエネルギーを添えます。その中であなたが、一枚の情景のように、いちばん心地よい自分でいられますように。

もっと見る

Dig MEMO

お話しを聞いたあとは、

色をよく見るようになったよ。

道ばたのお花の色。コップの色。

食べものの色。お洋服の色。

生活の中に、

こんなにいろんな色が

あったんだね。

DIG MEMO
ソトの世界が気になる もぐらのディグ

お話したひと


何気ない日常の風景や、ふと目に留まった色の組み合わせ。それらを暮らしの中にそっと差し込むようにデザインへと昇華させているのが、テキスタイルブランド「gonhee(ゴンヒ)」です。

焦りや迷いと向き合いながらも、自分の感性を信じて積み重ねてきた選択の数々。Dig Dig Worldブランドインタビュー第二弾では、gonhee代表のキム・ゴウンさんに、ブランド立ち上げの背景から、色彩への向き合い方、そして“使われるデザイン”をつくるための考えについてお話を伺いました。

タイミングを逃していたら、もっと迷いが生じていた

SM

簡単に自己紹介とブランド紹介をお願いします。最初に始めることになったきっかけは何だったのでしょうか。

ゴウン

私は、gonhee(ゴンヒ)というブランドを運営しているキム・ゴウンと申します。

私たちのブランドは、テキスタイルデザインを基盤に、リビング製品をつくっています。2021年11月からスタートして、2026年の11月で6年目を迎えることになります。

SM

gonheeを始めるきっかけは何だったのでしょうか。

ゴウン

もともと大学時代からずっと、「自分のブランドを持ちたい」という思いがあったのですが、まずは会社に勤めて経験を積んで、いつか実現させようと考えていました。

私は意外と単純な性格で、「会社に通うよりも、自分のブランドをやる方が楽しそうだな」と思いはじめ、独立を考えるようになりました。ただ、いざ考え始めると退職のタイミングについてはかなり悩みましたね。

写真

ディグ

思い切りがいいですね!最初の一歩目はドキドキするなぁ。

ゴウン

「自分一人ですぐにスタートを切れるほど、準備ができているのか」そんな自問自答を続けながら、起業の準備には1年ほど費やしました。当時、もう若いと言える年齢ではなかったので、物事には「締め切り」があるような気がして、焦る気持ちもあったんです。

「今このタイミングを逃したら、きっともっと迷いが生じて起業できなくなる」と思い、思い切って踏み出しました。

SM

自分自身が背中を押したんですね。起業を決心した時は、どのような感情でしたか。

ゴウン

当時はただ、「まずはやってみよう。悩んでいる時間があるなら動く方が楽しいはずだ」という気持ちが強くありました。

「もし上手くいかなくても、また就職すればいいし、別の道を探せばいいだけだ」と考えていて、不安よりも「面白そうだ」「ワクワクする」という高揚感の方が大きかったですね。それ以外の複雑な感情は特になかったと思います。

写真

静的なデザインを飛び出して発見した、色彩の喜び

SM

会社員での経験で、今のブランドコンセプトに影響を与えたものはありますか。

ゴウン

以前の勤め先では、今とは正反対の静的なデザインが多く、とても落ち着いた、繊細で少女のような雰囲気のパターンを扱っていました。

しかし、私自身はもっとカラフルで、強い色が響き合うようなデザインが好きだったんです。会社での仕事とは別に、個人的に好きな世界観を追求し続けているうちに、「ああ、私はこっちの方が楽しいんだ」と確信し、自然と今の作風ができました。

SM

会社員時代もテキスタイルデザインをされていたんですね。その経験が今に活きていると。

ゴウン

そうですね、以前はずっと花を描いたり、水彩画の手法を使ったりしていましたが、もっと多様な表現に挑戦したかったんです。

6年ほど寝具のパターンデザインに携わり、同じようなモチーフを描き続ける日々でした。その仕事自体が決してつまらなかったり、嫌だったわけではありませんが、より自分自身の感性にフィットする方向へ進みたいという思いが強くなり、今の道を選びました。

写真

SM

表現したい世界観や方向性はありますか。

ゴウン

私は、すごく計画的にコンセプトを立てるタイプではなくて、その時々で自分がやりたいことを表現している感じなんです。

結果的に、それが積み重なって、自分だけのアーカイブになるブランドになっていくと思っていて。その感性を好きだと思ってくれる人が、自然と集まってくれたらいいなと思っています。

ディグ

まるでアート活動のようですね!

ゴウン

はい、今はそんなふうに運営しています。2026年はさらにその側面を強調したくて、大量生産するのではなく、一つ一つ丁寧に描いたパターンで、それに合う製品をシーズンごとに発表するブランドにしたいと考えています。

これまでの作品を振り返ると、色使いが多彩で、韓国ではあまり見かけないパターンをつくろうと心がけています。流行を追いすぎず、でも流行が過ぎても忘れられない、そんなデザインになるよう意識しています。

写真

“焦燥感”が与えてくれた意外なギフト

SM

デザインのインスピレーションは主にどこから得ていますか。

ゴウン

インスピレーションの源についてよく聞かれますが、これには教科書も正解もありません。

私は週末になると、とにかくあちこち歩き回ります。例えば、ふと入ったお店で出てきたデザートの色合いが驚くほど綺麗だったり、道端の割れたコンクリートが思いもよらない色の組み合わせになっていたり……

そうした些細な発見を常にアーカイブしておくんです。

ディグ

ぼくが同じものを見ても、色合いに目がいく気がしないよ...

ゴウンさんのデザインアイディアの種は、日常に転がっているんだね。

ゴウン

そうですね。本当はシーズンの始まりに余裕を持って作業すべきなのですが、締め切りが間近に迫ってくると、それらが一気に推進力に変わるんです。

「これを形にしたい!」という思いが溢れ出し、保存しておいたアーカイブを見返すと、以前見た色の組み合わせとアイデアが結びつきます。

振り返ってみると、一番良いアイデアが浮かぶのは、皮肉にも締め切りに追い込まれた時かもしれません。(笑)

写真

ディグ

締め切りはプレッシャーにはならないんですか??

ゴウン

プレッシャーは感じます!でも深刻に考えすぎないようにしています。

「今の自分ができることをまずやってみよう」 そう考えるようにしています。続けていく中で、少しずつ自分も成長していくんだと思います。

SM

同じものを見ても、ゴウンさんのように「すごくきれいな色だ」と感じる人もいれば、 そう感じない人もいる。ゴウンさんならではの感性ですよね。

同じものを見ても、ゴウンさんのように「すごくきれいな色だ」と感じる人もいれば、 そういった視点や感性は、いつ頃からあったのでしょうか。

ゴウン

私はデザインを専攻すると決めたのが人より少し遅かったんです。だからこそ「どうすれば追いつけるか」と常に考えていました。

その焦燥感が、日常生活の中で物事をより詳細に観察し、ほか人とは違う視点を持つための訓練を、自分に課すきっかけになりました。

意識的に彩り豊かなものに目を向けるようになったのは大人になってからですね。もともとカラフルなものは好きでしたが、 「自分が作りたい」「自分にもできるかも」と思ったのは、大人になってからだと思います。

写真

試行錯誤から生まれた、gonheeの代表作

SM

gonheeの代表的な商品について聞かせてください。

ゴウン

ブランドを始めて1〜2年経ってから出した商品が、今もずっと愛されていて、それが代表作になっています。「スムージーストライプ」シリーズという寝具です。

当時、私はグラデーションにすごくハマっていて、最初はカーテンを作ったんです。それを「寝具にしてもいいかも」と思って作ったんですが、グラデーションは色数が多くて華やかなので、寝具だとどうしても子どもっぽく、野暮ったく見えてしまって。

そこで、韓国の人はシンプルなものが好きだから、グラデーションをストライプに落とし込もうと考えました。色も単色にして。そうしたら、 「シンプルだけど、自分らしさを表現できる」と感じてくださった方が多くて、代表商品になりました。

写真

ディグ

シンプルだけど、一度見たら忘れられない色とデザイン!

SM

作ったけれど、世に出さなかったデザインなどはありますか。

ゴウン

はい。生地サンプルまで作ったけど、発売しなかったものもあります。最初は良く見えても、後から見ると違うと感じたり、自分の趣味が強すぎると感じたものは外します。

SM

アート活動のような側面もありながら、購入者の視点も大切にされているんですね。

ゴウン

そうですね。私は作品を展示する作家ではなく、同じ商品を複数作って販売する立場なので、お客さまの反応はとても重要です。

SM

初期に、海外写真家の写真を使った商品がありましたよね。

写真

ゴウン

最初、ブランドを印象づける商品が欲しくて、手描きだけでなく写真もいいと思い、海外の作品を探しました。

ドイツの写真家のカップルの写真があって、横長の写真を枕の左右に分けたら面白いと思ったんです。使用許可をいただいて枕カバーを作ったら、反応が良くて、ブランドを知ってもらうきっかけになりました。

SM

今後つくっていきたいアイテムやビジョンはありますか。

ゴウン

生活着、ルームシューズなど、ライフスタイル全般に広げて、気軽に選んでもらえるブランドにしたいです。

華やかなデザインが多いですが、選んでくださった方には、自分の好みで選んだはずなので、日常の中で「自分のものに囲まれている安心感」を感じてもらえたら嬉しいです。

写真

意識的な消費が、心地よさにつながるワケ

SM

最後に、私たちSeesaw Marketのコンセプトである、「Better choice, Better life.」に関連する質問です。

最近のゴウンさんの生活の中で「よい選択(Better Choice)」だったと感じた瞬間はありますか。

ゴウン

昨年、オフィスの仲間たちと「コンシャス・ハウス(Conscious House)」というテーマでポップアップを開催したのですが、その時みんなで話したのが、「意識のある消費をしよう」ということでした。

単に「あ、これ可愛い!」と衝動的に買うのではなく、「これはどうやって作られたのか?」「今、本当に自分に必要なのか?」を一歩立ち止まって考える。そうした意識的な選択(=Conscious Choice)が、回り回って自分自身の心地よさに繋がるのではないかと。

写真

ゴウン

その時から、私もそう心がけていて、最近購入した、こちらの小さなポーチは、日本で見つけたものですが、自分にとって本当に必要なサイズで、とても重宝しているんです。

単に色が綺麗だからという理由だけではなく、実生活への馴染み方を考慮して選ぶことが、自分にとっての「Better Choice」になるのだと思います。

SM

ありがとうございました!!

色彩へのまなざしが、日常を少し自由にする

ブランドインタビュー第二弾では、テキスタイルブランド「gonhee」を手がける代表・ゴウンさんにお話を伺いました。

シンプルでありながら、一度目にすると不思議と記憶に残るgonheeのデザイン。その理由は、ゴウンさんが日常の風景や色彩を、決まった枠にとらわれず自由に捉えている視点にあるのだと、今回のインタビューを通して感じました。

写真

終始笑顔を絶やさず語ってくださったゴウンさんですが、印象的な色の組み合わせの裏側には、焦りを前向きな推進力へと変換する強さや、アイデアを凝り固めずに受け止める柔軟さがあるのかもしれません。

日常の中にそっと彩りと心地よさを添えてくれるgonheeのアイテム。自分の「好き」に正直でありたいと思う方に、ぜひ手に取っていただきたいブランドです。

ほかの記事もぜひ読んでみてね