★ブランドインタビュー

土に触れた日、人生が決まった。Adam Houseがつくる記憶の色とうつわ【後編】

2026-03-14
土に触れた日、人生が決まった。Adam Houseがつくる記憶の色とうつわ【後編】

この記事は後編になります。
まずは前編記事をご覧ください。




お話したひと

  • ソン・シムンさん Adam House ソン・シムンさん
  • キム・ハヨンさん Adam House キム・ハヨンさん
  • 名前 ディグちゃん
  • 名前 Seesaw Market ディレクター

デンマークで見た、忘れられない時間の色

しーそー

Adam Houseの商品の代表的な商品とそのコンセプトについて教えてください。

キム・ハヨンさん

「Fog Plate」というお皿なのですが、お皿ごとに少しずつ色が異なります。その色は、私たちが「記憶しておきたい時間」をカラーで表現した製品です。

Image courtesy of Adam House

しーそー

鮮やかな色だったり、落ち着いた色の組み合わせだったり、どんなインスピレーションからきているんですか?

ソン・シムンさん

Adam Houseをオープンする少し前に、1ヶ月ほどデンマークのコペンハーゲンで生活をしたことがあるのですが、その時に見た景色が影響しています。

例えば、サンドイッチを包んで公園に行き、芝生に寝転んで空を眺めたときの色とか。その時、その時間。「記憶に残しておきたい」と思ったことがきっかけで表現したものになります。

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ディグ

なぜデンマークだったんですか?

キム・ハヨンさん

そのとき、私たちはデンマークにとても行きたかったんですよね。当時デンマークについてあまり情報が出てこなかったのですが、「ヒュッゲ」という言葉を知って、「幸福の国」と称されるデンマークへ、「私たちはここに行かなきゃいけない」と直感的に思い行ったんです。

※ヒュッゲ(Hygge):デンマーク語で「居心地が良い空間」や「楽しい時間」を指す、幸福感を表す言葉

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しーそー

デンマークから戻ってからは、普段どんなことからインスピレーションを得ていますか?

ソン・シムンさん

日常の中が多いですね。たとえば「Cheeze Plate」という商品は、ふたりがワインを楽しむ時間から生まれました。「チーズをきれいに盛りつけたい」と思ったとき、「それなら自分たちでうつわをつくってみよう」と自然に発想が広がりました。

そんなふうに、日常での気づきやアイディアが形になっています。

Image courtesy of Adam House

3ヶ月の実生活テスト、「飽きないものだけを売る」

SM

その製品を作る際、素材や何か自分なりにこだわっていることはありますか?

キム・ハヨンさん

私たちはデザインを作ったあとすぐには販売しません。作ってから3ヶ月ほどは私が直接使用して、ずっと見ながら「飽きないこと」が重要です。その期間を経て、ようやく販売に至ります。

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ソン・シムンさん

僕は男なので男性的な視点で製品を見て、妻は女性的な視点で見るので、なるべく幅広い方に気に入ってもらえるか入念にチェックした上で、ふたりで話し合います。

キム・ハヨンさん

私は、食器棚からその皿を取り出して使いたいと思うか、そうした点を見ています。棚にお皿がいくつかあっても、つい手が伸びるお皿ってあるじゃないですか。そんなお皿になれるかどうかをよく話しています。

“アダムが暮らす家”を形にしていく

SM

創業して8年。その間に変化したこと、また変わっていないことについて教えてください。

お子さんが誕生されたことがブランドに影響したことはありましたか? 今後のAdam Houseが発展する展望についても教えてください。

キム・ハヨンさん

「Adam House(アダムの家)」という名前のとおり、最終的には“家”にまつわるさまざまなジャンルを扱っていきたいと考えています。子どもが生まれたことをきっかけに、自分たちの暮らしの視点が広がりました。

子ども用の食器を陶磁器でつくったら面白いのではないかと考えたり、大人だけではなく、家にいるみんなが自然に使えるうつわをつくりたいと思うようになったんです。そうした日々の変化が、ブランドの方向性にも少しずつ影響しているのかもしれません。

Image courtesy of Adam House

キム・ハヨンさん

「アダム」という、私たちが思い描いたひとりの人物が「家で暮らすとしたら、どんな空間に住むだろうか」そんな想像を膨らませながら、その家を少しずつ満たしていくような感覚でブランドを運営しています。

いまはキッチンまわりの製品が中心ですが、いずれは寝室やリビングへと広げていって、最終的には、“アダムの住む家”として自然につながっていることが目標です。

SM

Adam Houseとして、変わりたくない信念や、大切に思っていることは何ですか?

キム・ハヨンさん

人の手で、精一杯真心を込めてつくられた製品には、工場で量産されたものとはまた違う魅力があると私は思っています。その違いは、きっと使う方にも伝わるはずです。

私たち自身が楽しい気持ちや「好きだ」という思いを込めてつくっているからこそ、その感情まで含めて届けたい。そうした気持ちが、ものづくりにおいて何より大切だと考えています。

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日常のちいさな選択が、暮らしを少し変える

SM

最後に、私たちSeesaw Marketのコンセプトである、「Better choice, Better life.」に関連する質問です。

最近のおふたりの生活の中で「よい選択(Better Choice)」だったと感じた瞬間はありますか。

ソン・シムンさん

僕は、最近髪の色を脱色しました。知らなかった自分の新たな姿を発見できたので、この選択はして良かったと思っています。日本スタイルの髪型だと僕は理解していますけど、そうですか?(笑)

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ディグ

たしかに、マンガのキャラクターに出てきそう!

キム・ハヨンさん

私が“良い選択だったな”と思うもののひとつに、バッグの購入があります。好きなデザイナーのカリム・ラシッド(※)について調べているときに、彼がデザインしたバッグを見つけて、思わず購入しました。

使うたびに、彼の考え方というか、デザインに込められた信念のようなものが思い浮かぶんです。それがなんとも心地よくて。ものを通して、その人の思想に触れられる感覚があります。

※カリム・ラシッド(Karim Rashid):家具、照明、表面デザイン、ブランドアイデンティティ、パッケージなどを手がけるプロダクトデザイナー

ディグ

ありがとうございました!!

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食卓に添える、記憶の色

Seesaw Marketのブランドインタビュー第5弾は、陶磁器ブランド〈Adam House〉のおふたりにお話を伺いました。

私も普段からAdam Houseさんのプレートを使っていますが、料理やデザートをのせると、不思議とそれらをやさしく包み込み、時にはきりっと料理を引き立ててくれるうつわです。気づけばつい手に取ってしまうくらい愛用しています。

そんな特徴的な色合いの背景には、「記憶の色」を大切にするおふたりの視点がありました。忘れたくない時間の色と料理とが、そっと溶け合うような感覚があるんですよね。

どれも魅力的な色ばかりで悩んでしまうAdam Houseのうつわですが、個人的にはふだんは選ばない色をあえて選んでみるのもおすすめです。意外なほど料理とよく合うことがあって、その発見もまた楽しいですよ。ぜひチェックしてみてください。



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