お話したひと
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AOYディレクター キム・ジヘさん
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ディグちゃん
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Seesaw Market ディレクター

単なる「服づくり」にとどまらない、「心地よいバランス」を追求する
簡単に自己紹介とブランド紹介をお願いします。
こんにちは。私は「AOY(エーオーアイ)」のディレクター、キム・ジヘといいます。
「AOY」は、日常に活力を与えられるような衣類やアクセサリーを手がけているクリエイティブ・デザイン・スタジオです。


「AOY」のブランド名にはどんな意味が込められているのでしょうか。
「AOY」を立ち上げるときに、ただ服を作るだけでなく、人々がもっと楽しく共有できるライフスタイルや文化を共に楽しみたいという想いがあり、明るくて楽しい名前にしたいと考えたんです。
意味は最終的に少しずつ詰めていったものになりますが、「あ!」という感嘆詞や、「お〜」など、日常のふとした瞬間に漏れる言葉で表現するのが、自分たちにぴったりだと感じています。
AwwwOooohYeahh! つい口にしたくなっちゃうな。
ブランドのアイコンもハート型の陰陽で印象的ですが、どのようにして生まれたのでしょうか。
私たち「AOY」というブランドは、単にファッションだけに偏るのではなく、生活、いわゆる「衣食住の暮らし」にフォーカスしたいと考えています。
自分自身の人生と、自分自身との心地よいバランスを保ちたいという想いをずっと持っていて。
同時に、みんなで一緒に楽しみ、心地よい雰囲気を感じてほしいという願いを込めて、「ハート」とバランスを象徴する「陰陽」のシンボルを組み合わせることにしました。

極めることだけが、正解じゃない「心地よいバランス」を追求する
帽子に「シャバサナ(※)・マスター」という言葉が書かれていますが、ヨガの哲学などがブランドのコンセプトに影響を与えていますか。
※シャバサナ:仰向けで全身の力を抜くヨガのリラクゼーションポーズ
AOY」が追求する、健康的で楽しい生活のために、私自身もヨガをしています。ヨガという活動を通じて、ブランドの雰囲気やムードを共有したいと考えているんです。
ただ、「シャバサナ・マスター」と名付けたように、あまりにも真剣すぎたり、専門的に「ヨガを極めています!」と突き詰めたりするのではなく、もっと身近に、みんなで軽く笑いながら楽しみたいという気持ちがあります。

「シャバサナ・マスター」は、ヨガの哲学をもっと親しみやすいものに、そして笑顔で過ごす日々の生活を提案したくて作ったものです。
「楽しさ」や「日々の生活」が重要なキーワードになっていますね。
そうした価値観を大切にするようになったきっかけはありますか。
会社員時代のことが関係しています。当時、仕事と私生活のバランスがうまく取れていなかったんです。
もし今後自分でブランドを立ち上げるなら、楽しく働きながら、自分が納得できる結果を生み出したいと思っていました。仕事が人生の一部である以上、私自身の生活が楽しくなければ、作品にも楽しさは反映されませんから。
特に「楽しさ」というキーワードは、現代のだれもが心のどこかで願っているポイントだと思うので、みんなでそこに共感し、一緒に楽しめたらいいなと思っています。
楽しめてないと、やっぱりどこかで苦しくなっちゃいますよね。
忙しすぎる生活から見つけた意外なギフト
「楽しむ」という想いが、キャップのウィットに富んだテキストや多様なカラーに表現されているんですね。
新しいアイテムを作る際、特に大切にしていることはありますか。
まずは私自身が心から共感できるかどうかが一番重要だと思っています。
自分自身が「本当に欲しい」「使いたい」と思えるものでなければ、ほかの人に提案した時に説得力を持たせることができませんし、共感してもらうことも難しいと思っています。
カラーやアイテムを決めるときも、その時期に自分が本当に必要としているもの、着たいものを優先します。「友人にも勧めたいな」と思えるものや、ヨガなど活動をする中で「これがあったらいいな」と感じるものなど、自分にとっての必要性がどこにあるのかをまず第一に考えています。

自分が欲しくて作ったものが、思いがけず多くの人に求められた、というような経験はありますか。
一番最初に作った帽子がまさにそうで、「SO MANY BOOKS SO LITTLE TIME」というメッセージを載せた帽子がありました。
当時はほかのプロジェクトで多忙を極めていて、AOYに十分な時間を割けていない時期でした。その「忙しすぎる生活」に対するユーモアとして、ちょっとした遊び心で作った帽子だったのですが、それが本当に人気が出て、長い間販売した末に完売しました。
「忙しい毎日にちょっとしたウィットが必要だ」と思って作ったのですが、同じ時代を生きるほかの人たちが共感してくれたのだと思います。一緒に笑ってくれたり、「欲しい」と言ってくれる人が本当に多くて、その経験がその後に作るアイテムの方向性にも大きな影響を与えたと感じています。
どのテキストもひねりがあって、洒落てるよね。

がんばらない言葉が、人の心を動かす
テキストは、パッと思い浮かぶのでしょうか。それともじっくり考えて生み出すのでしょうか。
最初の帽子は、ふとした瞬間にパッと思いついたものでした。
その後は、またあんな風に心に響くものを作りたいので、日頃からメモを取るようにしています。新しいアイテムを作る時に、そのメモの中から選んで形にする感じです。
ですが、机に向かって「今から考えるぞ」と深刻になりすぎると、逆に良い言葉は出てこない気がします。友達と遊んでいる時や、ほかの仕事をしている時にふと降りてくる。
そんなふうに軽やかに捉えることで、重苦しくない、だれもが共感できるメッセージが生まれるのだと思っています。
Image courtesy of AOY
実際にブランドを運営してみて、人生にはどのような変化がありましたか。
会社員時代は、システムやスケジュールに縛られ、毎シーズン新しいものを生み出さなければならないという強迫観念のようなものがありました。実際にそうして働いてきました。
ですが、自分のブランドを運営するようになって、自分の時間軸で進めても「大丈夫なんだ」ということを、活動を続ければ続けるほど実感できるようになったんです。それを理解してくれる人たちも増え、「決まったルールなんてなかったんだ」と気づくことができました。
流行をただ追うのではなく、だれもが共感し、一緒に楽しめるような文化を育んでいきたい。そのための構想を練っているところです。

「Positive Mental Power」に込めた想い
ビジョンとビジネスのバランスを保つために、どのように自分自身をコントロールされていますか。
私自身がブレずに健康的であること。そしてAOYのカルチャーを分かち合い続けられるよう管理することです。無理をせず、みんなで楽しみながら次のステップを考えています。
楽しんで働いていれば、ビジネスもビジョンも後からついてくる、というような考えでしょうか。
そうですね。自分自身が楽しみ、健やかなエネルギーを保つことこそが、ブランドを継続させる原動力になると信じています。
ブランドのスローガンである「Positive Mental Power」は、私自身が最も辛かったときに生まれた言葉です。お守りのようにこの言葉を身につけていると、困難な状況でも前向きなパワーが自分に宿る気がします。

実際に、それで物事が好転した経験もたくさんあります。
不思議なことに、お客様や友人もこの言葉に共鳴し、勇気づけられたというエピソードをたくさん共有してくれました。
だれかの力になれるポジティブな連鎖を実感できていることが、私の支えです。
なにかあったとき、心の中で唱えたくなるね!Positive Mental Power!!!って。
「健康的で楽しい人生」その土台の上に生きる喜びがある
最後に、私たちSeesaw Marketのコンセプトである、「Better choice, Better life.」に関連する質問です。最近のジヘさんにとって、「よりよい人生(Better life)」とはなんでしょうか。
とても大きな問いですが、今の私は「健康的で楽しい人生」こそが、Better lifeだと思っています。
心身ともに健やかで楽しければ、仕事も自ずと面白くなりますし、何をするにしても生きる喜びからエネルギーを得られるはずですから。
ありがとうございました。

AOYが教えてくれた、揺らぎを肯定する生き方
ブランドインタビュー第三弾では、クリエイティブ・デザイン・スタジオ「AOY」を手がける、ディレクターのジヘさんにお話を伺いました。
ディレクターのジヘさんが、終始一貫して「バランス」という言葉を大切にしていたことが印象に残っています。「仕事と人生」「自分と社会」「真剣さとユーモア」。どちらかに偏るのではなく、揺れながらも自分のリズムを取り戻していく。その姿勢そのものが、AOYのアイテムに自然と滲み出ているように感じます。
ブランドスローガンである「Positive Mental Power」は、一度聞いたら頭から離れないのは私だけでしょうか。これは、決してポジティブ思考の押し付けではなく、揺らぎながらも日々生きる自分を支えるための、お守りのような言葉だと感じました。
「無理をしない」「楽しめるエネルギーを保つ」という姿勢を崩さない。その等身大の強さが、AOYというブランドの信頼感につながっているのだと思います。
これからどんな人々の共感を生み出していくのか。それはきっと、服だけではなく、テキストやムードとして現れてくるのだと思います。
なにげない会話の中でのひと言。忙しさの中でこぼれるちいさな本音。そんな日常の断片を、くすっと笑えるテキストや、前向きなメッセージへとすくい上げ、暮らしの中に届けているのが「AOY」です。
服や帽子というカタチを借りながらも、その根底にあるのは“どう生きたいか”という大きな問いがあります。
会社員時代に感じた違和感、自分のリズムを取り戻したいという願い、そして「共感」でつながるカルチャーをつくりたいという想い。
Dig Dig Worldブランドインタビュー第三弾では、AOYディレクターのキム・ジヘさんに、ブランド誕生の背景から、ウィットに富んだテキストが生まれる瞬間、そして「Positive Mental Power」に込めた信念まで、じっくりとお話を伺いました。