お話したひと
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anu 代表 アン・ヨンウさん
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anu 共同創業者 ナ・ウォノさん
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ディグちゃん
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Seesaw Market ディレクター
友人から戦友へ。ふたりが築く「anu」というブランドとは
簡単に自己紹介とブランド紹介をお願いします。
こんにちは。私はanuの代表、アン・ヨンウといいます。
ブランドの代表を務めており、全体的なビジュアルや製品のデザイン、それから製品の企画や戦略などを主に担当しています。
私はanuを共に運営している、ナ・ウォノと申します。
運営に関するあらゆること、例えばマーケティングから人事、会計といった経営全般と、運営のすべてを統括しています。
「anu(アヌ)」というブランドは、捨てられてしまう陶器を再利用して、持続可能な美しさを追求している、そんなライフスタイルブランドです。
おふたりがどこで出会い、anuとして共に歩むことになったのか、きっかけを教えてください。
私たちは大学の同期なんです。大学で初めて出会ってから、知り合ってかれこれ10年ほどになりますね。本当に、気心の知れたただの友人同士です。
友だちとブランドをつくるって、どんな感じですか?
共同経営をすると「経済共同体」になりますよね。
だから、ただの友達というよりは、もう少し「戦友愛」があるというか。今はまさに、戦場に共に出て戦っている、戦友のような関係になったように思います。

ブランド名である「anu(アヌ)」に込められた想いや意味を教えてください。
「私たちの活動や製品を通して、人々になにを感じてほしいか」を考え始めたとき思いついた名前です。
漢字の「安」と「宇(=家・空間)」を組み合わせて、韓国語で繋げて読むと、「アヌ」になります。意味は「安らかな空間」です。
anuの製品を使うことで、都市で暮らす人々の生活空間が「安らげる場所」であってほしい。そして、家の中で感じられる最高の満足感は、この「安らぎ」から来ると信じています。
「都市」で暮らす人々に焦点を当てているのには、どのようなことが背景にあるのでしょうか。
韓国に住む多くの人が、ソウルあるいはその近郊に住んでいます。ほとんどの人が「都市生活」を送っていますが、都市で暮らす人々にとって「土」という素材は、どこか馴染みの薄い存在かもしれません。
だからこそ、土が私たちを通して形になったとき「都市の生活にそっと寄り添う製品」であってほしい。そんな想いを大切に作っています。
いつも土の中にいるモグラのぼくとは、真逆の生活でなんだか新鮮なお話だなぁ!

“土”にしかできない表現を探して
代表商品の誕生の背景、そこに込めた想いなどを教えてください。
私たちの代表商品は「プラントボウル」という製品です。これはブランドを立ち上げた当初から企画し、ローンチと同時に私たちの名を初めて世に広めてくれた製品です。
ブランドをローンチしたタイミングはコロナ禍で、植物を育てる人が急激に増え、観葉植物への関心が非常に高まっていた時期でした。
同時に、美しい鉢への関心も高まっていた時だったので、鉢にこだわりを持つ方々に「もっと特別で、今までにない新しい鉢」を作ってお見せできないか、と考えたのが始まりです。
一見、再利用には見えないようなデザインですよね!
制作側としては、捨てられた素材を再利用しているからといって、あからさまにそう見えてしまうのは、視覚的に面白みに欠けると思ったんです。
製品そのものが十分に美しく魅力的で、けれど「実は持続可能な素材で作られていたんだ」という発見の楽しさを伝えたかったんですよね。
作り手ならではの視点ですね。
いろんな色をのせたり、独特なパターンを作ったり、縁がラフにちぎれたようなディテールを加えたり。あまり見たことがないような表現をしてみたかったんです。
丸みを帯びたフォルムなど、あまり見慣れない姿かもしれませんが、そこが多くの方の関心を集めたのだと思います。

フォルムにも、色にも、さわり心地にも、すべてに温かみを感じるね!
私も自宅で使わせていただいていますが、植物ととても調和していると感じました。このインスピレーションはどこから来ているのでしょうか?
実は、ほかの視覚的なものからリファレンスを得たわけではなく、素材が持つ性質そのものに焦点を当てました。
「土」だからこそできることはなにか。そこに色をのせるならどう表現できるか。土が持つ特徴を最大限に引き出すことに心血を注ぎました。

例えばこうしたディテールも、土の湿度によって色が滲んだり散ったりする効果なのですが、一般的な既製品ではなかなか見られないものです。一方で、土という素材だからこそ可能な表現でもあります。
見方によっては「キズ」や「欠陥」のように感じられるかもしれませんが、お客様の多くは、むしろ『自然な美しさ』として受け入れてもらえました。
素材をじっくり観察して、その素材の本質に寄り添いながら「どう形にするか」を考えるのですね。そうした考え方は、どこで培われたのでしょうか?
やはり、私が陶芸科を卒業したことが大きいと思います。そのアプローチ自体が、ある意味で「工芸的」な考え方に近いんです。
私が学んだ工芸とは、「素材と自分の関係をどう設定するか」から始まります。「物と私」、そして「素材と私」の向き合い方です。
内面的な対話に集中した時に、最も自然な製品が生まれるということをこれまで何度も実感してきました。

大学卒業の分岐点で生まれた「捨てないものづくり」
起業のきっかけや、その時期についても詳しく教えていただけますか。
創業は2021年の8月です。当時は大学を卒業して、企業に就職すべきか、それとも自分の仕事を始めるべきか悩んでいた時期でした。
そんな時、大学の荷物を整理していたら、自分がこれまで手がけてきた作品や試作品を、あまりにもたくさん捨てることになったんです。
その過程で、「何かを捨てることなく、ものづくりをすることはできないだろうか」と考えるようになったのと同時に、「自分は陶芸が好きなんだ。これをずっと続けていく方法はないだろうか」という想いが募っていきました。
その頃、私も同じく卒業を控えていて、一緒に就職準備などをしていた状況だったんです。
そのとき、「もしよかったら、一緒にやってみないか」と声をかけてくれたのがきかっけでした。
迷いの時間は、同時に「始まり」だったんだね〜。

彼のバックグラウンドは陶芸専攻で、一方で私は産業デザイン学科を専攻していました。
私はデザインや企画をするのがもともと好きな人間だったので、ちょうど二人の得意分野がカチッと噛み合って、そうしてanuが始まりました。
なんだかドラマだなぁ。
卒業後、就職を選ばずそのまま起業されましたが、今あの時の選択をどう振り返りますか。
「自分にしかできない仕事をしたい」という欲求が強かったので、どんな道を通っても結果は同じだったと思います。
社会人一年目としてのプロセスを、企業の中で経験するのか、自分で起業して経験するかの違いだけだったと思います。
もし就職していたら、もう少し安心感があったかもしれませんね。前を走る先輩たちがいるから、行き詰まっても聞けばいい。
でも起業は二人とも何も知らない状態からのスタートですから、毎日「どうしよう?」と言い合いながら、答えのない道を進むプロセスは、本当に大変で、苦しくて、先が見えなくて。
でもその分、成長はものすごく凝縮されている感覚があります。
無数の課題と、揺るがない信念の先に
本当に、数えきれないほどの苦労がありました。まず、廃棄対象の陶磁器を集めることから......
続きは後編記事をご覧ください。
役目を終え、静かに捨てられていく陶器。本来ならそのまま忘れ去られてしまうはずの欠片に、もう一度息を吹き込むことはできないだろうか。そんな問いから生まれたのが、ライフスタイルブランド「anu」です。
自然から離れて暮らす私たちにとって、土はどこか遠い存在かもしれません。しかしanuは、その土と真正面から向き合い、素材の声を聞きながら、持続可能な美しさを形にしてきました。
そこにあるのは、単なるリサイクルではなく「どう選び、どう生きるか」という哲学でもありました。大学卒業という分岐点での決断、数えきれない失敗の時間、そしてふたりを支えてきた信念について、じっくりとお話を伺いました。